格納
第1款 国家主権の範囲
第1条 〈領土〉
自然に存在する陸地は、その陸地を発見し、先に占めたる国家に帰属する。
2 南極条約において定めたる南極大陸及び周辺島嶼に関しては、この限りでない。
3 人為的に造成したる島嶼は、これを領土として見做さない。
第2条 〈領海基線〉
通常の基線は、陸地を領有する国家の公認する海図に記載される海岸の低潮線とする。
2 海岸線が著しく曲折している場合は、基線を策定するにあたり適当なる海岸の点を結んで直線基線とすることができる。
3 直線基線の新たな策定、または改定にあたっては諸国に対する通知を必要とする。
第3条 〈領海〉
陸地側から見て基線から沖合に12浬までの水域を自国の領海とし、その主権を主張することができる。
2 直線基線と陸地に囲まれた水域を内水とし、その主権を主張することができる。
第4条 〈接続水域〉
陸地側から見て基線から沖合に24浬までの水域を接続水域とする。
2 接続水域においては、国家は通関、財政、出入国の管理、及び衛生管理に関してその権限を行使することができる。
3 領海及び接続水域における通航は、国家の平和、秩序、または安全を害しない限り無害とされ、無害な船舶は事前通告をせずとも自由通航を行う権利がある。
第5条 〈排他的経済水域〉
陸地側から見て基線から沖合に200浬までの水域を排他的経済水域とする。
2 排他的経済水域においては、国家は水産資源及び鉱物資源、ならびに海洋エネルギーに関する排他的権利を有する。
第6条 〈大陸棚〉
陸地に連続する、200m以下または天然資源の開発可能な水深である海域を大陸棚とする。
2 大陸棚においては、国家は水産資源及び鉱物資源、ならびに海洋エネルギーに関する排他的権利を有する。
第7条 〈範囲の確定〉
領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚が多国間において重複する場合、その境界線は二国間の領海基線から等距離にある中間線とする。
第8条 〈公海〉
領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚のいずれにも属さない水域を公海とする。
2 公海においては、いかなる国家もその主権を行使することはない。
第9条 〈領空〉
領土及び領海の、海面から起算して上空100kmまでの空間を領空とし、その主権を主張することができる。
第2款 宇宙の利用
第10条 〈宇宙の定義〉
海面から起算して上空100km以上を宇宙とする。
第11条 〈宇宙の自由通航〉
宇宙空間の通航は、何人もこれを妨げられることはない。
第12条 〈平和利用の原則〉
宇宙に以下の物体を配置する場合、または宇宙に向けて以下の物体を発射する場合は、本条約批准国の事前承諾を必要とする。
1 各種爆薬を充填した物体を発射するもの
2 人体に有害な物質を充填した大量破壊兵器を発射するもの
3 光増幅放射を利用し、破壊性を得るもの
4 その他、宇宙空間の通航を著しく妨げるもの
第13条 〈12条の補則〉
11条に定められた物体を、本条約批准時点で既に配置している場合、本条約批准国に対してその旨を報告する必要がある。
第14条 〈宇宙における国家主権〉
宇宙の領有は、いかなる形においてもこれを認めない。
第15条 〈宇宙探査の安全〉
宇宙探査を行う為、衛星打ち上げを行う場合は、その旨本条約批准国に対する事前通知を必要とする。
2 衛星打ち上げの失敗に伴う責任は、打ち上げ主体にかかわらず国家がこれを負う。