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従来のジェット艦上攻撃機は空対艦ミサイル攻撃に特化した「ミサイル・キャリアー」のような性格を帯びたものであり、エンジンは大出力のターボジェットエンジンで高速性能を追求し大搭載量を以て敵水上艦にミサイル飽和攻撃を仕掛けるものであった。この性格を残しつつ、このような高速性能追求型の艦上攻撃機の問題点であった対地攻撃能力の欠如を克服すべく開発されたのが本機である。設計段階で戦略核爆弾の搭載も考慮されたことから設計は小型軽量のターボファンエンジン2基を搭載し胴体中央部に大きな爆弾倉を設けるものとなった。また、対地攻撃を反復して行うことも考慮され、無誘導爆弾を精密に投下することや搭載機銃によって対戦車攻撃を行うことが予想されたためレシプロ艦上攻撃機「流星」以来となる急降下爆撃能力も要求された所謂雷爆統合機となった。そのため、命名基準は艦上爆撃機のものが適用される形となった。設計主任は愛知航空機で、開発番号はB10A。
　

超音速飛行は限定的なものに留めるという運用方針から、主翼後退角は最小限に留められ、そのぶん面積が大きくなった。空戦性能はあまり要求されていないが、亜音速域においては身軽な機動を行うことが可能になっているため最低限の自衛機動能力はある。機体はその性格から、地上から発射される70口径40mm機銃弾に耐えうるものとして設計され、特に機体前面は重厚な防弾が施されている。機体の材質は前面を中心にチタン合金が、残りは超々ジュラルミンなどの軽量素材で構成されている。
本機には急降下爆撃能力が求められたことから主翼には大型のダイブ・ブレーキが装着され、その命中精度を高めるものとなっている。帝国海軍の航空機にダイブ・ブレーキが装着されるのは「流星」の実質退役以来じつに15年ぶりのことであり、既に急降下爆撃の教育要員が十分な数いなかった海軍は陸軍航空隊から人材を派遣するよう要請することとなった。
　

固定武装は胴体下の二四式三十粍機銃のみである。これは長銃身・高初速の3連装30mmバルカン砲であり、主に対地攻撃・対戦車攻撃に使用される。劣化ウラン弾芯を使用した硬芯徹甲弾を用いれば1,000mで38mm、500mで70mmの均質圧延鋼板を貫徹することができる。天板の防御が脆弱なことが多い現代主力戦車を空から撃破するには十分な値である。弾数は1,750発が用意され、そのすべてが偵察員席後方に格納されている。また、ハードポイントは最大1.2t懸吊可能なものが翼下に3か所ずつ用意されている。ここには各種ミサイルや無誘導爆弾を搭載し、攻撃を行うことができる。また、胴体中央部には5tまでの爆弾に対応する全長5m、全幅1.5m、全高1.4mの爆弾倉を有し、絨毯爆撃や戦術核攻撃、戦略核攻撃、果ては4本の航空魚雷を搭載しての航空雷撃まで行う能力を有する。これら搭載可能重量を総計して、爆弾・ミサイルなど12.2tの搭載が可能である。この戦略爆撃機顔負けの搭載量は本機を大きく特徴づけるものとなっている。本機は元々亜音速域での活動を想定しているため、この量の兵装の積載によって最高速が低下することは問題とはみなされていない。
　

エンジンは平常時に最大4,500kgfの推力を発揮することができる航技研製の「ネ100」ターボファンエンジンを2基搭載する。アフターバーナーを使用した際には最大8,200kgfを発揮する。燃料は大きな主翼に1250リットルずつ、胴体に3000リットルを搭載して合計5500リットルを搭載できる。また、1500リットル増槽をハードポイントに適宜吊下可能である。これにより、巡航速力で平常時2,720km、3000リットルを増槽によって追加搭載した場合には最大4,200kmもの航続性能を誇る。最高速力は通常運転時1,175km/h(マッハ0.95)、超過推力時1,470km/h(マッハ1.2)、巡航速力は800km/hであり、同時期に開発された艦上戦闘機「雷光」との共同運用に問題はない。
　

初期型には旧式の電探が装備されていたが、二六式一号無線探信儀が開発されるとそちらに換装された。これによって最大120kmのミサイル誘導を行うことができる。射爆照準器は一七式改と呼ばれる、急降下爆撃向けの精度を増したものとなっており、本機の運用に適したカスタマイズが為されている。乗員が2名であることから誘導機や偵察機としても使用できるようになっており、このため慣性航法装置はより精密なものになっている。
　

• 乗員　　：2名
• 全長　　：16.3m
• 全幅　　：12.25m
• 全高　　：4.34m
• 翼面積　：39.95m²
• 自重　　：12.5t
• 最大重量：28.65t
• 動力　　：航空宇宙技術研究所(航技研)「ネ100」ターボファンエンジン(推力4,500kgf、超過推力8,200kgf)×2
• 最大速力：1,470km/h
• 巡航速力：800km/h
• 航続距離：正規2,720km、増槽4,200km