チハの架空国家Wiki

30年前、大中央帝政連合の同君連合通達によりフランス本土に混乱が広がった。

国内では賛成派と反対派に分かれ、反対派には国王もついて戦ったが、2年にわたる死闘の結果、反対派は敗北した。
フランス王国は大中央帝政連合に併合され、反対派だったフランス国王フランソワ4世は、反対派の貴族と共に植民地アルジェリアへ亡命。更にフランス本国が大中央帝政連合に併合されたことを知った各地の植民地総督たちはここぞと言わんばかりに独立。

フランス王国に残ったのは国王のいるアルジェリアのみであった。
仕方なく、フランス国王フランソワ4世はアルジェリアでフランス王国の復活を宣言。
だが、そこに待ち受けるのは財政難と階級問題であった…。

アルジェリアに亡命したフランソワ4世がまず最初に直面したのは階級問題だった。
アルジェリアでは主に、フランス本国から逃げてきた貴族、植民者、黒人奴隷に階級が分かれており、この3つの勢力の対立が激しかった。
植民者と黒人奴隷の間には労働問題、貴族と植民者の間には権益問題、黒人奴隷と貴族の間には宗教問題。
どれも簡単には解決できない問題であった。

早速、フランソワ4世は黒人奴隷の支持を受けるために人件費の最低金額を上げることを国王権限で決定。黒人奴隷からの支持は得たが、これに大反対したのが植民者達であった。
彼らにとって人件費が上がるのは利益が減るのと同じ。反対するのは当たり前であり、これを解決しなければアルジェリア内での政治は上手くいかない。

フランソワ4世は悩んだ。植民者に増えた人件費分の金を払うことも考えたが、国庫には金がない。

仕方なくフランソワ4世は他国に借金。戦争に負けたフランス王国に金を貸す国はいないと思われていたが、フランス王国への接近を目論んでいた五国協商の国々が金を貸した。

こうして金が手に入ったフランソワ4世だったが、植民者への援助に貴族が猛反発。貴族と植民者の間には権益問題があったからだ。

もう後がないフランソワ4世は仕方なく自分に従わない貴族の階級剥奪を国王権限で決定。
フランソワ4世は貴族たちから批判を受けたが、躊躇なく自分に従わない貴族の階級を剥奪していった。

こうして貴族の数は減り、貴族勢力の力が弱まったため、フランソワ4世は植民者達に資金を援助することに成功。
更に、国王は国王権限で信教の自由を保証。キリスト教勢力とイスラム教勢力の争いは一旦沈静化した。
依然として財政難に振り回されるが、大きな進歩と言えるだろう。

階級問題をとりあえずは解決したフランス王国であったが、まだ解決してない問題がある。
そう、財政難だ。

思い返してみると、階級問題解決の時も金がなかった。
一体何故か？
それは植民者達に利益が全て行ったり、貴族や公務員が税金を横領していたからであった。
これに怒った国王は財務省に調査を命令。詳しく調べてみた結果、国内で脱税する者が国内に3万人もいることが発覚したのだ。

国王は失望した。どうすれば財政が回るのか？
階級問題を解決するために金を借りてしまったからもう他国から借金はできない。

仕方なくフランソワ4世は自身の財産で1年間国政を賄うことを国王権限で決定。彼自身の財産は亡命時から少なかったが、それを更に減らすこととなった。
貴族たちからも「3年間非課税にする」と約束して財産を集め、なんとか1年半国が回るレベルの資金が集まった。

だが、集めただけでは変わらない。国王は早速公務員の解雇を国王権限を使って進めた。
公務員に払う金も無く、税金を横領している者もたくさんいたためである。
公務員は半分まで減ったが、残った公務員の給料を上げることによって仕事を増やした。

更に、植民者からも税金を取る事を国王権限で決定。
植民者からの反対は根強いと思われたが、植民者達は階級問題の時に自分たちを助けてくれた国王に協力。反対派は極小数に留まった。

最後に、国王は貴族の一斉調査を敢行。17人の貴族の税金横領が発覚、国王はその貴族達から貴族階級を剥奪した。

大々的な財政改革を終わらせたフランソワ4世であったが、長年の疲れと持病で亡くなってしまう。フランス本土から逃げてきて早30年、御歳85歳であった。

葬儀は大々的に行われ、周りには様々な人が集まった。そして、葬儀の終わりには皆は口を揃えてこう言った。
「ありがとう、"愛国王"！貴方に祝福を！」
と。

フランソワ4世が亡くなった3日後、フランソワ4世の息子であるロベールがロベール5世として即位。”愛国王”の息子であることから、国民の人気は根強かった。

だが、これを良く思わない集団がいた。議会である。

議会はフランソワ4世統治時代、フランソワ4世による親政（国王権限を沢山使ったこと）の影響で権力を喪失。国民からは税金泥棒と揶揄されるほど何も出来なかった。

これが原因で議会は新王が前王のように親政を行うことを恐れ、議会はロベール五世を認めず、代わりに”フランス王”としてルイ18世を擁立した。

当然、ロベール5世はルイ18世を認めず、自身が王である事を国内外に強く示した。だが、国内には議会派のルイ18世を認める者も多く、混乱を極めていた。

ロベール5世は悩む。ここでしくじったらフランス王国に未来はない。ならばどうするか？

結論は国王権限のルール改定であった。
議会は国王権限の濫用を恐れているから、国王権限に関するルールを変えれば大丈夫なのでは…？という考えだ。

早速ロベール5世は議会に国王権限のルール改定案を議会に提出。その内容は、

「国王権限はフランス王のみが使用を許される。」

「国王権限は何回でも発動可能だが、議会の3分の2以上の賛成がなければ効力を失う」

「国王権限は議会の承認を通った場合、絶対である。だが、例外として議会で承認された時でも国民の7割の反対があれば効力を失う」

というものだ。
簡単に言えばフランス王の国王権限濫用は議会や国民の承認がないと不可能になるということだ。

これでフランソワ4世のような親政は出来なくなったが、ロベール5世は後悔していなかった。この改定案ならば、議会の支持を得られると確信していたからだ。

だが、彼の思惑は外れた。

議会のうち半分ほどは納得したが、議会内の共産主義勢力が国王に対する懐疑を広めたことで改定案が通ることはなかった。

だが、これはチャンスでもある。「改定案は通らなかった」からである。ロベール5世は国民の批判を受けるかもしれないが、国王権限を使って共産主義勢力を議会から一掃できるかもしれないからだ。

しかし、国王は国王権限を使わなかった。
国内の不安定化が進むと考えたからだ。

仕方なく国王は、議会の共産主義者達と面会することで妥協案を練ろうとした。
共産主義者達も国王の熱意に押されてか、かなり譲歩して新改定案を練り上げた。

こうして出来た新改定案の内容は、
「国王権限は議会によって選ばれたフランス王のみが使用を許される」

「国王権限は何回でも発動可能だが、議会の3分の2以上の賛成がなければ効力を失う」

「国王権限は議会の承認を通った場合、絶対である。だが、例外として議会で承認された時でも国民の7割の反対があれば効力を失う」

というものだ。
あまり変わっていない様に思えるが、"議会によって選ばれたフランス国王"という条件が追加された。

そして、この新改定案は無事議会で承認された。
ロベール5世は議会で正式にフランス王として認められ、ルイ18世を名乗っていたルイは大中央帝政連合に亡命した。

かくして新王と議会の戦いは終焉を迎えたのだった。

こうして国内が徐々に安定化してきたフランス王国。だが、海外に目を向けるとフランス王国はまだまだ貧弱であった。

王国付近ではオスマン社会主義人民共和国、大ロン帝国が勢力を拡大しており、最大の仮想敵国大中央帝政連合も近年軍備を拡張している。

このままではいずれ強大な他国に飲み込まれてしまう。そんな時だった。

「南米のペルー地域を貴国に譲渡するから、我々の同盟に参加してくれないか？」

そのような伝達を送ったのはゴールドコースト連邦。以前借金を貸してくれた五国協商の盟主である。

ロベールはすぐさま加盟の旨をゴールドコースト連邦に伝えた。
これほど幸運なことはないと思ったからである。

ゴールドコースト連邦も加盟を承認。約束通り南米のペルー地域をフランスに譲渡した。

これでフランスは守られる。そう思ったのも束の間、またもや国内で問題が発生するのであった…。

こうして南米のペルー地域を手に入れたフランスであったが、これにより新たな問題が増えてしまった。
経済問題だ。
問題を上げてみよう。

1.通貨が違う

2.ペルー地域のインフラ整備率、貧富の差が激しい

3.自治を求める声が大きい

主にこの3つである。
1に関してロベール5世は国王権限を行使し、「ソルに関する法」を議会で通した。
内容は【ソル】の価値を上げ、フランスの【フラン】と同じにまで引き上げるもの、そして国内通貨を10年間【ソル】と【フラン】の2つにしたというものだ。

ペルー地域で大混乱が起こると思われたが、元々【ソル】と【フラン】の価値は余り変わらなかったため、少々の混乱ですんだ。

3に関しては議会が直ぐに自治を認め、ロベール5世も大いに賛同した。

だが、問題は2である。
アルジェリアのサハラ砂漠と違い、アマゾンの森や山岳にはたくさんの人が住んでいる。
しかも、そのインフラ整備率は水道が無いレベルであり、インフラ整備にはかなりの金がかかると思われた。

議会は「住居移転を進める法」を可決。
内容は山岳、森から引っ越す者に住居、職を保証すると言うものだった。

だが、これには反対の意見がたくさん出てきた。
「森の民や山の民をバカにしている」と言うものである。

しかし、議会は意見を曲げず住居移転政策を進めた。
結果、森や山にいた10万人の内8万人が引っ越した。

これで一見落着！と思えたが、山と森に残った2万人のための政策は今後一切取られなかった…。

そして、この問題は今後更に深刻化していく…。

こうして「表向き」は解決した内政問題。
次に議会と王が取り組んだのは隣国チュニジアとの対立問題であった。

チュニジアは元々フランス王国の植民地であったが、フランス王国が大中央帝政連合に負けた際、植民地総督であったシャルルがすぐさま独立を宣言。

シャルルはフランス王国と戦争をしていた大中央帝政連合と協力し、大中央帝政連合から最新兵器を輸入、軍備を充実させていったのだ。

結果、両国の関係は著しく悪化。国境部での戦闘が絶えなくなった。

1940年8月7日、その時は突然訪れた。
フランス内戦の影響で停滞したフランス経済に国内の不満が爆発したのである。

まず最初にパリで火の手が上がり、その後ボルドー、マルセイユといった諸都市でも反乱が起きた。
フランス連邦軍は最初こそ反乱軍を鎮圧しようとしていたが、大中央帝政連合へ亡命したルイ・ボナパルトの代わりに、フランス大元帥となっていたシャルル・ド・ゴールが反乱軍に味方するとの声明を発表。
これにより、フランス連邦軍は反乱軍に味方することとなった。

軍が味方についた反乱軍はもう誰にも止められなかった。

反乱軍は王の本拠地であるヴェルサイユ宮殿へ向けて進軍を開始し、道中の王国親衛隊をものともせずにヴェルサイユ宮殿へ到着。
ヴェルサイユ宮殿にいたフランス王アンリ七世はその場で一族諸共処刑され、ここに栄光を築いたフランス王国、並びにブルボン家は地球上から消滅した。


アンリ七世の処刑後、大元帥ド・ゴールはフランス大統領となり、民主的な「フランス共和国」の建国、並びにフランス連邦の存続を決定。
同時に大中央帝政連合、インド共和国と結んだヨーロッパ同盟からの脱退を宣言したのだった。

ド・ゴールが最初に手を付けたのは憲法の制定であった。
ド・ゴールは新たに創設された国民議会で初の平等選挙を実施。全議席数300のうち160がド・ゴール派の議席となった。

だが、ド・ゴール自身が共和国建国を宣言した時に「憲法制定には国民議会の3分の2以上の賛成が必要」と言ってしまっていたため、ド・ゴール派の議席だけでは憲法を制定することはできない。

そこでド・ゴールは当時野党第2党であった社会党と協力しようと画策。社会党左派からの反対は強かったが、右派の賛成を取り付けたため、なんとか憲法を制定することが出来た。

その後、ド・ゴールは国内のインフラ整備のために、内戦で大量に発生した失業者を雇用。失業者たちの次の職場も手配し、3か月後には国内産業が内戦前水準まで戻った。

外交問題で問題になっていたのは、フランス内戦終結後に発生したスペイン内戦だった。

フランス連邦軍は国境警備を怠らず、不介入を貫いてきたが、ド・ゴールはスペイン内戦への介入を決意。
フランス連邦軍を迅速に展開させ、ナバラとアンドラを制圧したが、これには国内で激しい論争が巻き起こった。

あのドレフュス事件を上回るほどの暴動が各地で起こり、人々は「スペイン人へ自由を！」と叫び続けたが、ド・ゴールはこれを無視。暴動を憲兵隊で弾圧し続けのだった。

…だが、これが後になって大きな転換点となることを今はまだ誰も知らない。